不動産売却にはさまざまな書類が必要です。必要書類を事前に用意しておくことで、スムーズに不動産売却できます。
「不動産売却に必要な書類を知りたい」「必要書類の取得方法を知りたい」
この記事では上記のような悩みを解決するために、不動産売却に必要な書類とその取得方法について解説します。
不動産売却に必要な書類はたくさんありますが、中には必須ではない書類もあります。しかし、用意しておくことで売却をスムーズにしたり、査定額に影響する書類もあるため、可能な限り用意しておくと良いでしょう。
不動産売却を成功させるために、必要書類を把握し、事前に用意しておきましょう。
もくじ
不動産売却に必ず必要な書類
不動産売却の際に必ず必要な書類は11種類です。また、不動産売却に必要な書類は、不動産会社に確認することで教えてもらえるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
ここでは、不動産売却に必ず必要な11種類の書類を紹介していきます。
身分証明書
不動産売却の際は、本人確認のために身分証明書が必要です。身分証明書には下記のようなものが使用できます。
- 運転免許証
- パスポート
- マイナンバーカード
売却する不動産の名義が共有名義となっている場合は、全員分の身分証明書が必要です。
相続物件などで共有者が遠方に住んでいる場合、書類を揃えるのに時間がかかるため早めに取り掛かりましょう。
通帳またはキャッシュカード
不動産売却した際の代金の支払い方法は、基本的に銀行振込です。そのため、口座情報がわかる通帳もしくはキャッシュカードが必要になります。
支店番号や口座番号などの口座情報がわかるものであれば、どちらでも問題ありません。
実印・印鑑証明書
不動産売却の際は、実印で押印するため実印と印鑑証明書が必要です。
実印とは、役所で印鑑登録をした印鑑のことを指します。そして印鑑証明書とは、登録された印鑑が本物であるということを証明する書類です。
実印と印鑑証明書が揃っていることで、「本人が実印を使って押印した書類」だと証明できます
実印と印鑑証明書は、所轄の役所で登録・発行できます。印鑑証明書に関しては、マイナンバーを持っている方であればコンビニでの発行も可能です。
間取図
間取図とは、部屋の配置や広さ・ドアや窓の開閉方向などを確認できる図面のことです。
間取図は、不動産の販促活動の際に使用する「チラシの折り込み広告」や「不動産情報サイト」に掲載する際に必要になります。
間取図は不動産購入時に受け取っているはずですが、万が一紛失してしまった場合は、不動産会社に確認してみましょう。
登記済証(権利証)または登記識別情報
登記済証または登記識別情報とは、記載された名義人が物件の所有者であることを証明する書類です。
登記済証または登記識別情報は、買主へ所有権移転する際に必要になります。
登記済証と登記識別情報の違いは、不動産登記法の改正前か改正後かによって違うだけです。
以前は登記済証が発行されていましたが、2005年に不動産登記法が改正され、登記済証が廃止となり、代わりに登記識別情報が発行されるようになりました。
それぞれ、不動産購入時に法務局から交付されている書類です。
固定資産税納税通知書および固定資産評価証明書
固定資産税の確認ができる書類です。不動産売却の際に所有権の移転登記を行いますが、このとき登録免許税を支払う必要があります。
そして、登録免許税を算出する際に固定資産税のわかる上記の書類が必要になります。
重要事項に係る調査報告書
重要事項に係る調査報告書とは、マンションに関するさまざまな情報が記載されている書類であり、マンション売却時に必ず必要になります。
重要事項に係る調査報告書には、下記のような内容が記載されています。
- マンションの管理会社や管理員の勤務形態
- 管理費や修繕積立金などの引き落とし日や滞納の有無
- 修繕工事について
- リフォーム工事について
- ペット飼育や楽器演奏について
- アスベストの使用調査結果や耐震診断の有無
重要事項に係る調査報告書は、売主が取得することも可能ですが、不動産会社がマンションの管理会社へ依頼して取得する流れが一般的です。
地積測量図・境界確認書
地積測量図とは売却する土地の面積が記載されており、境界確認書は土地の境界を記載した書類です。
売却する土地の対象面積や境界線をはっきりとさせておかないと、後々トラブルになる可能性があるため、戸建てや土地を売却する際にはこれらの書類が必要になります。
境界確認書を作成するには、隣地の所有者と土地の境界線について合意を得る必要があります。
付帯設備表
付帯設備表とは、不動産と一緒に置いていく家具や家電・設備を記載した書類のことです。
買主との間で「内覧時に確認した家具や家電が購入後になくなっていた」といったトラブルが起きる可能性があるため、記載漏れのないようにしましょう。
マンションの管理規約・長期修繕計画・議事録
マンションの管理規約には、マンションに住む際のルールが記載されています。
長期修繕計画とは、将来予想されるであろう修繕工事に必要な費用を算出し、修繕積立金の設定をするための書類です。
そして、議事録とはマンション管理組合によるマンション総会の内容を記録した書類です。
これらの書類は、買主がマンション購入後に希望する生活が送れるかどうかを判断するために必要な書類となっています。
不動産売却時に用意しておくと良い書類
不動産売却時には必ずしも必要ではありませんが、用意しておくと良い書類がいくつかあります。
必須書類に加えて用意しておくことで、不動産の評価が上がったり売却しやすくなる可能があるため、可能であれば用意しておきましょう。
ここでは不動産売却時に用意しておくと良い書類または、場合によって必要になる書類を紹介します。
住民票
住民票が必要になるのは、登記名義人として記載されている住所と現住所が異なるときです。
登記する際は、新住所登記と旧住所登記の2種類があります。売却する不動産を購入した際に旧住所登記していた場合、住民票が必要になります。
たとえば、現在の住所をA、以前住んでいた住所をBとして例を上げると下記の通りです。
旧住所で登録すると、登記事項証明書にはBの住所が登記されています。しかし、現住所はAであるため、売却の際には住民票が必要になります。
逆に新住所のAで登記していれば、現住所と同じであるため住民票は不要です。
建築確認済証・検査済証
建築確認済証・検査済証とは、建物が建築基準法を遵守して設計及び建築されていることを証明する書類です。
建物の構造が建築基準法に違反していると、住宅ローンの借り入れなどに支障が出る可能性があるため、可能であれば用意しておきましょう。
住宅ローンの残高証明書
住宅ローンの残債が残っている場合は、残債を一括返済しなければ不動産の売却はできません。
売却価格でローン残債を支払うことも可能ですが、そのためには売却価格がローン残債を上回る必要があります。
そのため、ローン残債がどれくらいあるのかを確認しておく必要があります。ローン残債は、住宅ローンの残高証明書で確認可能です。
購入時のパンフレット
マンションや戸建てなどの不動産を購入した際に貰った物件のパンフレットがあれば用意しておきましょう。
パンフレットには物件の図面や魅力が記載しているため販売活動に役立ちます。
地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅性能評価書
地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅性能評価書には、地盤の強度や住宅性能評価が記載されています。国が定めた基準によって第三者が作成した評価書であるため、信頼度が高く買い手に良い印象を与えられます。
そのため、可能であれば用意しておきましょう。
アスベスト使用調査報告書・耐震診断報告書
アスベストを使用している建物かどうかを調査した書類と、住宅の耐震性を調査した結果が記載された書類になります。
ある程度築年数が経過した物件であってもこれらの書類があれば、買主に安心感を与えられます。
不動産売却に必要な書類の取得方法
不動産売却には様々な書類が必要であり、全て用意するのは大変です。中にはすでに紛失してしまっているものもあるでしょう。
ここでは不動産売却に必要な書類の取得方法について解説していきます。
不動産売却に必ず必要な書類
不動産売却に必ず必要な書類の取得方法は下記のとおりです。
必要書類 | 取得方法 |
---|---|
実印・印鑑証明書 | 所轄の役所で登録・発行できる |
間取図 | 不動産購入時にもらったもの
紛失した場合は、登記所の窓口で取得可能 |
登記済証・登記識別情報 | 不動産購入時にもらったもの。紛失した場合の再発行は不可
紛失した場合は法務局の事前通知書で代用可能 |
固定資産税納税通知書・固定資産評価証明書 | 固定資産税納税通知書は毎年1月1日に不動産の所有者に送付される
固定資産税評価書は所轄の役所で取得可能 |
重要事項にかかる調査報告書 | 基本的には不動産ん会社が用意してくれる |
地積測量図・境界確認書 | 土地購入時にもらっている。紛失した場合でも法務局に保管されているため、再発行可能。
境界確認書は測量した会社がわからなければ改めて測量が必要です |
付帯設備表 | 不動産会社から書式をもらい、作成する |
マンションの管理規約・長期修繕計画・議事録 | マンション購入時にもらっている。紛失した場合はマンションの管理会社が保有しているため、再発行可能 |
不動産売却時に用意しておくと良い書類
不動産売却時に用意しておくと良い書類の取得方法は下記の通りです。
必要書類 | 取得方法 |
---|---|
住民票 | 所轄の役所で取得可能 |
建築確認済証・検査済証 | 不動産購入時にもらっている。紛失した場合は再発行不可
代わりとなる書類である建築計画概要書や建築確認台帳規制事項証明書を所轄の役所で発行してもらえる |
住宅ローンの残高証明書 | 毎年送られてくる。紛失した場合は契約している金融機関で再発行可能 |
購入時のパンフレット | 購入時にもらっている。紛失している場合は管理会社へ問い合わせてみる |
地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅性能評価書 | 紛失していた場合は、再発行可能 |
アスベスト使用調査報告書・耐震診断報告書 | 紛失していた場合は再発行可能 |
不動産売却の翌年は確定申告が必要
不動産売却した翌年は必ず確定申告する必要があります。不動産売却によって得たお金は譲渡所得といわれる所得に分類され、課税対象です。
また、利益が出ていない場合でも特例によって税金が安くなる可能性があるため、忘れずに申告しましょう。確定申告は毎年2月15日から3月15日までの間で、税務署もしくは確定申告会場で行います。
また、国税庁が運営する「国税電子申告・納税システム(e-tax)」を利用すれば、パソコンやスマホから確定申告できます。
譲渡所得の算出方法は下記の通りです。
・譲渡所得=売却価格−(取得費+譲渡費用)
※取得費とは、売却した不動産を購入した際の価格および購入にかかった費用を指します。
※譲渡費用とは、不動産を売却した際にかかった費用を指します。
不動産売却後の確定申告に必要な書類
譲渡所得の確定申告に必要な書類は下記の通りです。
- 不動産売却価格がわかる書類
- 取得費がわかる書類
- 譲渡費用がわかる書類
不動産売却価格がわかる書類は、売買契約書の写しを使用できます。取得費がわかる書類には、不動産購入時の売買契約書や手数料などがわかる領収書などが使用できます。
譲渡費用には、仲介手数料や測量費・契約書の印紙代などが該当するため、これらを証明できる領収書などが必要です。
また、特例を利用する場合は、特例ごとに必要書類が違うため、国税庁のHPで確認しましょう。
不動産売却に必要な書類は不動産会社へ確認しましょう
不動産売却には、さまざまな書類が必要になるため、初めて不動産売却する人は困惑するでしょう。
そんなときは、事前に不動産会社へ確認しておくことで、準備不足になる心配がなくなります。必要書類の中には、すでに紛失してしまっているものもあるかもしれません。
再取得に時間がかかる書類もあるため、早めに準備しておきましょう。
必要書類の準備がスムーズな不動産売却に繋がるため、不動産会社に確認しながら余裕を持って用意することが大切です。