戸建てを売却する際は、流れや注意点をしっかりと把握しておかなければ、売却に失敗してしまう可能性があります。
「初めて戸建てを売却するため、ちゃんと売却できるか不安」「戸建て売却ってどんな流れで進んでいくの?」「戸建て売却の注意点とは」
この記事では、上記のような悩みを解決するために、戸建て売却の流れや注意点を解説します。
初めて戸建てを売却する人でも、流れや注意点さえ理解していれば、失敗する確率は少なくなるでしょう。
戸建て売却に詳しくない人でも理解できるように、わかりやすく解説していきます。
戸建てを売却する時の流れ
戸建ての売却を何度も経験している人は少なく、無事に売却できるか不安に感じている人も多いでしょう。
戸建てを売却する際は様々な注意点があります。まずは戸建てを売却する際の流れを把握しておきましょう。
事前準備をする
まずは戸建て売却するための事前準備をしましょう。戸建て売却の前の事前準備は下記の通りです。
- 売却したい戸建ての相場価格を調べる
- 必要書類を準備する
- 売却方法を決める
事前準備をしっかりと行なっておくことで、スムーズに戸建て売却を進められるため、とても大切な内容です。
売却したい戸建ての相場価格を調べる
あらかじめ相場価格を把握しておけば、不動産会社から提示される査定額が適切な価格かどうかを判断できます。
相場価格を調べる方法はいくつかありますが、査定シミュレーションや不動産情報サイトを使って調べる方法が手軽でおすすめです。
査定シミュレーションとは、住所や築年数などの必要情報を入力するだけで、AIが査定額を算出してくれるツールのことです。
簡易的な査定であるため査定額の精度は高くありませんが、スマホやパソコンから無料で利用できます。
不動産情報サイトとは、不動産の情報を掲載しているサイトのことです。中でも国土交通大臣に指定された不動産流通機構が運営している「レインズマーケットインフォメーション」がおすすめです。
レインズマーケットインフォメーションでは、近隣物件の過去の取引データを参照できるため、より精度の高い相場がわかります。
戸建て売却に必要な書類を集める
戸建て売却にはさまざまな書類が必要です。取得に時間がかかる書類もあるため、事前に用意しておくことで、戸建て売却がスムーズに進みます。
戸建て売却に必要な書類と取得方法は、下記の通りです。
必要書類 | 取得方法 |
---|---|
身分証明書 | 免許証やパスポートが使用可能 |
登記済証もしくは登記識別情報 | 戸建ての所有者が持っている
万が一紛失してしまった場合は、事前通知書で代用可能 法務局に問い合わせることで、事前通知書が送られてくる |
間取り図 | 戸建ての所有者が持っている
紛失した場合は、不動産会社へ相談する |
建築確認済証・検査済証 | 戸建ての所有者が持っている
紛失した場合は、再発行不可 役所に問い合わせることで取得できる建築台帳記載事項証明書で代用可能 |
地積測量図・境界確認書 | 戸建ての所有者が持っている
紛失した場合は法務局へ問い合わせる |
住宅ローンの残高証明書 | 毎年金融機関から郵送されてくる |
固定資産税納税通知書・固定資産評価証明書 | 毎年1月1日に役所から送られてくる
固定資産評価証明書は、所轄の役所で取得可能 |
実印・印鑑証明 | 所轄の役所で登録・発行可能 |
住宅性能評価書・既存住宅性能評価書 | 住宅性能評価を受けていれば戸建ての所有者が持っている |
アスベスト使用調査報告書・耐震診断報告書 | 調査を受けていれば、戸建ての所有者が持っている |
※必要書類の抜け漏れをなくすために、事前に不動産会社へ確認すると良いでしょう。
売却方法を決める
戸建を売却する方法には、仲介と買取の2種類があります。どちらも不動産会社へ依頼する点は変わりませんが、それぞれ全く違う売却方法であり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
売却方法 | 詳細 |
---|---|
仲介 | 不動産会社に仲介を依頼し、一般の人の中から買主を見つける方法です。
相場に近い価格で売却できますが、売却までに3〜6ヶ月程度の時間がかかります。 |
買取 | 不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。
買主を探す必要がないため、1ヶ月程度で売却できますが、売却価格は相場よりも安くなってしまいます。 |
自分にあった売却方法を選びましょう。
不動産会社へ査定を依頼する
事前準備が完了したら不動産会社へ査定を依頼しましょう。
査定には机上査定と訪問査定の2種類があり、まずは机上査定を依頼し、その後訪問査定を依頼する流れが一般的です。
不動産会社へ査定を依頼する際は、必ず複数の不動産会社へ依頼しましょう。不動産会社によって査定額はばらつきがあるため、1社で決めてしまうと大きな損失を出してしまう可能性があるからです。
机上査定とは
机上査定とは、近隣物件のデータや過去の類似物件の売却履歴をもとに、ざっくりとした査定額を算出する方法です。
簡易査定とも呼ばれ、手軽に依頼できますが、査定額の精度は高くありません。
訪問査定とは
訪問査定とは、不動産会社の担当者が実際に物件を訪問し、各査定の項目をチェックしながら査定をする方法です。
実際に物件を訪問して細かくチェックするため、査定額の精度は高くなります。
不動産会社と媒介契約を結ぶ
不動産会社による査定が終わったら、査定結果をもとに契約する不動産会社を選びましょう。
不動産会社を選ぶ際は、「適切な査定額を提示してきたか」「担当者の対応は良好だったか」などを加味して決めましょう。
契約する不動産会社が決まったら媒介契約を結びます。媒介契約とは、売主と不動産会社の間でトラブルを避けるためにあらかじめ締結する契約です。
媒介契約には下記の3種類の契約方法があり、売主が選択できます。
- 一般媒介
- 専任媒介
- 専属専任媒介
一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 | |
---|---|---|---|
売主が買主を見つけること | 可能 | 可能 | 不可能 |
複数の不動産会社との契約 | 可能 | 不可能 | 不可能 |
不動産会社から売主への状況報告 | 報告義務はなし | 2週間に1回以上の頻度で報告 | 1週間に1回以上の頻度で報告 |
レインズへの物件情報登録 | 登録義務はなし | 7日以内に登録 | 5日以内に登録 |
売却活動を開始する
不動産会社と媒介契約を結んだら、戸建ての売却活動を始めましょう。
スムーズに売却するために、物件のアピールポイントや魅力などを明確にしておきましょう。
不動産情報サイトへの掲載やインターネット広告などの販促活動は、基本的に不動産会社が行ってくれます。
内覧希望者が現れた場合は、売主も立ち会う必要があります。内覧の前は必ず掃除をして、印象アップを狙いましょう。
余裕があればハウスクリーニングを依頼して、プロに清掃してもらうのも良いでしょう。
買主と売買契約を結ぶ
売却活動を行い、無事に買主が見つかれば売買契約を結びましょう。
売買契約とは、売主と買主の間でトラブルが起きないように締結する契約です。このとき、売買契約書の内容に記入ミスや漏れがないか確認しましょう。
売買契約は不動産会社の担当者が同席のもと行われます。このとき、決済日や引き渡しなどを決めて、手付金の受け取りも行います。
決済・物件の引き渡し
決済日を迎えたら買主から残りの代金を受け取り、契約時に決めた日時に物件を引き渡して売買完了です。
決済日には、所有権の移転登記申請手続きや固定資産税の精算・抵当権の抹消手続きなども行います。
このとき、不動産会社の担当者・司法書士・金融機関の担当者も同席します。
戸建てを売却する際の注意点
戸建てを売却する際は、いくつか押さえておきたい注意点があります。事前に注意点を把握しておくことでトラブルを未然に防ぎましょう。
戸建てを売却したら確定申告をする
戸建てを売却した翌年は確定申告する必要があります。確定申告とは、1年間の所得をすべて申告し確定させることで、支払うべき税金を算出することをいいます。
戸建てなどの不動産を売却して得た所得は、譲渡所得と呼ばれる所得に分類され、課税対象です。
戸建て売却によって、利益が出ていない場合でも特例によって、税金が安くなる可能性があるため、必ず確定申告しましょう。
確定申告は、毎年2月15日〜3月15日の間に、確定申告会場もしくは税務署で行います。
譲渡所得の確定申告には、下記の書類が必要になるため、無くさないように保管しておきましょう。
- 戸建ての売却価格がわかる書類(売買契約書)
- 戸建てを購入したときの価格がわかる書類(売買契約書)
- 売却にかかった費用がわかる書類(仲介手数料や印紙税額がわかるもの領収書など)
譲渡所得の税率は、戸建ての所有期間によって変動します。
- 所有期間5年以内:30%
- 所有期間5年以上:15%
譲渡所得の計算方法は、下記の通りです。
・戸建ての売却価格−取得費−譲渡費用=譲渡所得
詳しく知りたい人は、下記の国税庁のHPで確認できます。
戸建ての売却を得意とする不動産会社を選ぶ
不動産会社を選ぶときは、戸建て売却を得意とする会社を選びましょう
不動産会社は、下記のように会社ごとに得意分野があります。
- マンション売却が得意な会社
- 戸建て売却が得意な会社
- 土地売却が得意な会社
そのため、契約する不動産会社を選ぶ際は、売却実績や担当者の対応を見てきめましょう。
また、そのエリアに精通しているかどうかも重要です。大手企業だからといって適当に決めたりしないようにしましょう。
適正な売り出し価格を設定する
戸建て売却を成功させるためには、適正な売り出し価格を設定する必要があります。
売り出し価格は、売主が自由に設定できますが、適切な売り出し価格を設定しなければ売れません。
適正な売り出し価格を設定するためにも、相場価格を把握し、担当者と良く相談してから決める必要があります。
また、戸建てなどの不動産は、時期によっても需要が変わるため、担当者との連携が大切です。不動産の需要が最も高くなる時期は、2月〜3月です。売却期間に猶予がある人は検討してみても良いでしょう。
戸建て売却の流れに関するよくある質問
ここでは戸建て売却に関する、よくある質問に回答していきます。
- 売却期間に余裕を持つ
- 戸建ての売却を得意とする不動産会社と契約する
- そのエリアの売却相場を把握しておく
売却を焦らずに担当者と連携して売却活動することが、戸建て売却を成功させる方法です。
リフォームすることで戸建ての価値を高めることは可能です。しかし、リフォーム費用には莫大な費用がかかるため、それを上回る利益を出せるかどうかはわからないためです。
また、リフォームしなくても、ハウスクリーニングや整理整頓によって、印象を良くする方法はあります。
そのため、リフォームを検討するのであれば、独断で決めずに担当者とよく相談してから決めましょう。
売買契約から決済までは2ヶ月程度の期間があるため、引越しする猶予がないという心配はありません。
買主に迷惑がかからないように、決済後はスムーズに引き渡しができるようにしておきましょう。
戸建て売却の流れまとめ
戸建て売却の流れは下記の通りです。
- 事前準備
- 不動産会社へ査定を依頼する
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 売却活動を開始する
- 買主と売買契約結ぶ
- 決済・物件の引き渡し
戸建てを売却する際は、流れや注意点を把握しておくことが、売却活動を成功させるコツです。戸建て売却は何度も経験するようなことではないため、不安に感じる人も多いでしょうが、事前に注意点を押さえておけば成功確率を上げられます。
とくに契約する不動産会社選びは慎重に行い、信頼できるところを選ぶ必要があります。