土地や建物などの不動産を売却しようと思っても、具体的に何から始めればよいのか分からない方もいるでしょう。「手続きが難しそう」「時間がかかりそう」などのイメージがあるかもしれませんが、面倒な手続きは不動産会社に一任するため専門知識は不要です。
今回は、不動産売却の流れを手順通りに解説していきます。不動産売却に必要書類や注意点についても紹介するため、不動産売却を検討している方はぜひチェックしてみてください。
東証プライム市場上場コンサルティング会社にて15年勤務し、住宅・不動産業界を担当。家・不動産の購入方法から、ローン、構造、デザイン、建築コストまで幅広い知識と業界内の人脈を持つ。愛犬家住宅コーディネーター、愛猫家住宅コーディネーター。
もくじ
不動産売却とは
不動産売却とは、個人や法人が所有している不動産を売却することです。不動産売却は所有者が自ら行うことも可能ですが、専門知識が必要なためハードルが高いでしょう。
そのため、不動産会社を仲介業者として利用し、売却に必要な手続きを代理で行ってもらうケースがほとんどです。不動産売却のプロである不動産会社に依頼することで、不動産売却時のトラブルも防げます。
不動産売却の流れ
不動産売却は売買価格のリサーチから、売却後に行う確定申告まで、大きく分けて9つのステップで行います。
売却完了までの道のりは長いものの、手順通りに行えば専門知識がなくても問題ありません。不動産売却の流れを手順ごとに紹介していきます。
売買価格の相場を調べる
はじめに、売却したい不動産の売買価格の相場を調べます。不動産の成約価格を調べられる以下のサイトや新聞広告を利用して情報収集をしましょう。
不動産の価格は地域によって異なります。売却したい不動産と近い条件の不動産がいくらで売られているのかを知ることで、売買価格の相場を把握できます。地域の相場を把握しておけば、悪質な不動産会社に付け込まれることもありません。
家の売却方法を決める
売却価格の相場を把握したら、不動産の売却方法を決めます。不動産の売却方法は大きく3種類に分けられます。
売却方法 | 特徴 |
---|---|
個人取引 | 個人で買い手を見つけて取引を行う方法。 仲介手数料などが掛からないため金銭面ではお得。 ただし、取引の知識が必須でリスクも付いてくる。 |
不動産仲介 | 不動産会社に仲介して貰う最も一般的な方法。 最後まで売却のサポートをしてくれるため安心。 ただし、不動産会社への仲介手数料が必要。 |
不動産・業者買い取り | 不動産会社や類似業者に買い取ってもらう方法。 複雑な手続きなくすぐに売却することができる。 ただし、通常通り売却する価格の7割~8割程度になる。 |
一般的には不動産会社を仲介する販売方法が用いられます。不動産会社が査定から売却までサポートしてくれるため、初めての方も安心して取引が可能です。
一方で、すぐにお金が欲しい場合や、知人との取引などをする時は、「個人」もしくは「不動産買い取り」を利用する場合もあります。今回の記事では、最も一般的な「不動産仲介」で売却する場合の手順や方法について解説します。
不動産会社に不動産売却の相談をする
不動産の売却方法が決定したら、複数の不動産会社に不動産売買の相談をします。複数の不動産会社に売却相談をすることで、比較したうえでよりよい条件で不動産を売却できるからです。
相談は手ぶらでも構いませんが、以下の書類を持参すると話がスムーズです。可能な限り用意しましょう。
- 物件概要書
- 登記事項証明書、もしくは固定資産税納税通知書
- 間取り図
- 敷地測量図
また、売却相談の際には、あらかじめ以下のポイントを整理しておきます。
- 売却理由
- 売却までのスケジュール
- 希望金額
- 住宅ローンの残額
売却理由や売却までのスケジュール、希望金額はスムーズに答えられるようにしておきましょう。
なお、ローン残債がある不動産も売却可能です。ローン残債がある場合は、売却金額と貯金を合わせてローンを完済をし、その後に引き渡しを行います。
不動産会社からもらった査定額を参考に返済計画を立てる必要があるため、住宅ローンの残額を把握しておくと安心です。
売却物件の査定を行う
売却相談と同時に、不動産会社が売却物件の査定を行います。査定とは、売却予定の不動産がいくらくらいで売れそうかの目安を立てることです。査定には、「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。
- 机上査定:周辺の取引事例や地価公示等の公的な価格データから算出した簡便な査定
- 訪問査定:実際に物件の状態と、法務局や行政庁などで登記簿や物件に対する法規制、インフラの整備状況も調査する査定
参考:不動産流通推進センター
机上査定は、おおむねの相場を把握するために利用されます。実際に物件は見ずに、不動産の概要や近隣の売買価格を考慮しながら査定額を出します。
一方の訪問査定は、担当者が現地で細部まで確認するため、机上査定と比較すると査定額の精度が高い点が特徴です。複数の不動産会社に依頼すると、査定価格で不動産会社を比較できます。
不動産会社と媒介契約を結ぶ
買い手候補を募集してもらう不動産会社が決まったら、媒介契約を結びます。媒介契約とは、売却に向けた活動の方針や売り出し価格、不動産会社に支払う報酬を取り決める契約です。
媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。契約の種類によって、同時契約できる不動産会社の数や報告義務が異なります。
媒介契約の種類 | 同時契約できる不動産会社の数 | 自分も買い手を探す | 報告義務 | 有効期間 |
---|---|---|---|---|
一般媒介契約 | 2社以上 | ○ | 義務なし | 3ヶ月以内 |
専任媒介契約 | 1社のみ | ○ | 2週間に1回以上 | 3ヶ月以内 |
専属専任媒介契約 | 1社のみ | × | 1週間に1回以上 | 3ヶ月以内 |
1社のみの不動産会社に依頼する場合は「専任媒介契約」もしくは「専属専任媒介契約」、複数の不動産会社に依頼する場合は「一般媒介契約」となります。
報告義務があるのは専任媒介契約と専属専任媒介契約で、有効期間はいずれも3ヶ月以内です。
打ち合わせをする~売却活動を行う
不動産会社と媒介契約を結んだら、不動産会社による買い手募集の広告掲載などの売却活動がスタートします。まずは不動産会社の担当者と打ち合わせをして、売り方の戦略を立てます。
- 希望の売却価格
- 希望の売却時期
- 優先させたいこと
- 売却活動でやってほしいこと
- 売却活動で避けてほしいこと
- 販促内容に関する希望
売却活動は不動産会社主導で行いますが、売主は内覧の準備を行います。内覧とは、購入を検討する人が不動産会社の担当者に連れられて土地や建物を見学することです。
居住中の内覧は、基本的に売主が立ち会います。居住していない場合は立ち合い不要ですが、内覧箇所の掃除やスリッパの準備を行いましょう。
購入申込書に記入し、売買契約を行う
不動産の購入希望者が現れると、不動産会社経由で購入申込書が届きます。購入申込書には値下げの希望や支払い条件などが記載してあるため、不動産会社を通して条件の調整を行っていきましょう。
売主と買主が合意した場合は、買主との売買契約を締結する売買契約へと進みます。売買契約は、売主・売主側の仲介業者・買主・買主側の仲介業者が集まって行うのが一般的です。
売買契約の前に、以下の必要書類を準備しておきましょう。
- 実印・認印
- 身分証明書
- 印鑑証明書
- 登記済権利証
- 収入印紙
当日は宅地建物取引士が同席し、売買契約書を締結します。契約書に署名・押印を行い、さらに本人確認と手付金の授受を行います。手付金には、不動産売買契約の締結に当たって、契約が成立していることを明確にする役割があるのです。
最後に売主・買主双方が契約書への署名・押印を行います。以上で売買契約は完了です。
決済・引渡しを行う
売買契約を結んだら、決済と引き渡しを行います。売買契約を結んでから2週間~1ヶ月後に、買い手の住宅ローン審査の結果が共有されるため、連絡がくるまでしばらく待ちましょう。住宅ローン審査に通過していれば、引き渡し日が決まります。
売主の住宅ローンが残っている場合は、買い手から代金を受け取り、ローンを完済しましょう。その後、司法書士に抵当権抹消登記を行ってもらう必要があります。
抵当権抹消登記とは、住宅ローンを組む際に、担保にした不動産の抵当権を抹消する手続きです。
その後、売主・買主・不動産会社・金融機関の担当者を交えて決済が完了したら、不動産の引渡し日を決定します。引渡し日が決まったら、その日に合わせて引っ越しの準備を進めておきましょう。
なお、引き渡しの際は以下の書類が必要になります。
- 本人確認書類
- 振り込まれる口座情報
- 登記済み権利証
- 印鑑証明書
- 住民票
- 固定資産評価証明書
- 鍵一式
- 家の境界や測量データ
ものによっては、司法書士や土地家屋調査士に依頼する必要があります。書類が足りない人や依頼が必要な人はあらかじめ手配しておきましょう。
不動産売却の確定申告を行う
不動産を売却して利益が出た場合は、翌年2月中旬~3月中旬に確定申告が必要です。不動産売却の利益に対して譲渡所得税を納めます。売主が行う作業は以下の通りです。
- 譲渡所得(不動産売却によって出た利益)を計算する
- 適用できる控除・特例があるかを調べる
- 確定申告書を作成する
- 確定申告書を税務署に提出する
- 税金を納税する
譲渡所得は、「譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)」で計算できます。譲渡収入金額は不動産売却で得たお金、取得費は購入時の購入費用や登録免許税、譲渡費用は不動産会社に支払った仲介手数料などです。
居住用不動産を売った際は、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。確定申告書に「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)」を添えて提出してください。
参考:国税庁
不動産売却の手続きに必要な書類
不動産売却の手続きには複数の書類が必要です。契約直前になって慌てないように、余裕を持って用意しましょう。必要な書類について表にまとめました。
書類 | 詳細 | 戸建て | マンション | 土地 |
---|---|---|---|---|
身分証明書 | 運転免許証、パスポートなど | 必要 | 必要 | 必要 |
実印 | 売主本人の実印 | 必要 | 必要 | 必要 |
印鑑証明書 | 発行から3ヶ月以内のもの | 必要 | 必要 | 必要 |
登記済権利証、もしくは登記識別情報 | 売却物件の情報の確認と登記時に必要 | 必要 | 必要 | 必要 |
固定資産税・都市計画税証明書、固定資産評価証明書 | 税額の確認のために必要 | 必要 | 必要 | 必要 |
建築確認済証・検査済証 | 建築基準法に適合しているかどうかの確認 | 不要 | 任意 | 任意 |
地積測量図・境界確認書 | 土地の範囲を確認 | 任意 | 不要 | 任意 |
マンションの管理規約 | 管理内容や使用ルールが記載された書類 | 不要 | 必要 | 不要 |
ローン残高証明書もしくはローン返済予定表 | ローン残債がある場合のみ | 任意 | 任意 | 任意 |
銀行通帳 | 売買代金が振り込まれる | 任意 | 任意 | 任意 |
パンフレット | アピールのための資料として | 任意 | 任意 | 任意 |
不動産売却には、運転免許証やパスポートなどの顔写真付身分証明書が必要です。顔写真付身分証明書がない場合は、健康保険証など2点の身分証明書を用意します。
上記以外でも不動産に関するものであれば、基本的に全て揃えたほうが安心です。必要な書類については不動産会社からも説明があります。
不動産売却するときにかかる諸費用
不動産売却には、不動産会社への仲介手数料を始めとした諸費用がかかります。まとまった金額が必要になるため、あらかじめ把握しておきましょう。
不動産会社への仲介手数料
不動産会社を仲介して売却した場合は、仲介手数料が発生します。不動産会社への仲介手数料は取引する金額により決まっており、それぞれ以下の通りです。
取引額 | 仲介手数料 |
---|---|
200万円以下の場合 | (売却価格 × 5%) + 消費税10% |
200万円~400万円の場合 | (売却価格 × 4% + 2万円) + 消費税10% |
400万円を超える場合 | (売却価格 × 3% + 6万円) + 消費税10% |
不動産売却においては、取引額が400万円を超える場合がほとんどです。そのため、仲介手数料でかかる費用は「売却価格の3% + 6万円」が基本になります。
なお、例外的に特殊な状況での契約解除に手数料がかかる場合もあります。しかし、通常の不動産売却でそういった手数料がかかることはまずないため、知識として知っておくだけで十分でしょう。
印紙税
不動産売却のような高額な取引をする際は、契約書に対しての税金である「印紙税」が発生します。印紙税は、取引する金額によって異なります。詳細の金額は以下の通りです。
取引額 | 通常の料金 | 軽減税率(令和2年まで) |
---|---|---|
100万円~500万円以下 | 1,000円 | 500円 |
500万円~1,000万円以下 | 5,000円 | 1,000円 |
1,000万円~5,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
5,000万円~1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円~5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
軽減税率は、平成26年から令和2年までに適応されていた金額です。現在は、通常の税金で支払うことになりますので注意してください。
なお、不動産の契約書は売り手保管分、買い手保管分の2通必要になるため、印紙税は2倍かかることになります。その点もあらかじめ把握しておきましょう。
登記・抵当権に関する費用
登記の変更や抵当権の抹消にも費用がかかります。登録免許税ともいいますが、不動産の持ち主の名義変更やローンを掛けた家を売却するときに発生する料金です。
基本的に不動産の売り手側は、抵当権の抹消のみ行います。家を一括で購入している人や、すでに抵当権を抹消している人はこの手続きが必要ありません。
抵当権抹消にかかる費用は1,000円のみです。土地と不動産の2つを持っている方は、それぞれに抵当権抹消の手続きが発生するため、2,000円になります。
なお、抵当権の抹消手続きは司法書士に依頼して行う場合も多いです。司法書士に依頼する場合は、抵当権抹消の費用に加えて2万円~3万円の依頼費用が必要になりますので把握しておきましょう。
住宅ローンと返済手数料
売却する不動産のローンを完済していない場合は、売却時にローンの完済が必要です。
一般的に住宅ローンを一括で返済する場合は、返却用の手続きと返却するための手数料が必要になります。
契約している銀行や振り込み方法にもよりますが、手数料はおおよそ1万円~3万円です。たとえば三井住友銀行の場合は、書面手続きで21,600円、専用パソコンで10,800円、ネットバンキングで5,400円となっています。
一括完済をする方は、事前に会社に問い合わせを行い、手数料がいくらくらいかかるかを確認しておくと良いでしょう。
土地の測量費
不動産売買をする際は、土地や不動産の面積、隣接する家屋や道路との境界を証明する証明書が必要です。すでに持っている方は必要ありませんが、手元にない方は事前に発行しておきましょう。
土地の面積・境界の証明書は、土地家屋調査士に依頼して発行してもらいます。証明書の作成料は立地にもよりますが、おおよそ50万円~100万円です。
- 一般的な住宅:40万円~50万円
- 道路や水路に隣接する住宅:50万円~60万円
- 国道に隣接する住宅:60万円~80万円
証明書の発行は1ヶ月前後かかります。また、費用は土地家屋調査士によっても大きく異なるため、しっかり費用の確認をしてから申し込むと良いでしょう。
引っ越し費用
不動産売却に伴い引っ越しを検討している方は、引っ越し費用もかかります。引っ越し費用は家具や荷物の量や移動距離によって異なりますが、家族単位であれば10万円~30万円を想定しておくと大丈夫でしょう。
なお、引っ越しは10月~12月頃が最も安い時期です。タイミングをずらせる方は、この時期を狙って引っ越しすると費用を抑えられます。
ハウスクリーニング
不動産売却の決め手の1つになるのが内覧です。家の状態が芳しくないため、売れないということがあるので、内覧前は必ず綺麗にしておく必要があります。
内覧のための掃除をする際に、自分で落とせない汚れやこびりついてしまった汚れがある場合は、ハウスクリーニングを依頼することをおすすめします。
ハウスクリーニングの費用はおおよそ1万円~10万円です。必須ではありませんが、より綺麗にしたいという方は依頼するようにしましょう。
建物の解体費用
家を取り壊して土地を売る場合は、建物の解体費用が発生します。建物の解体費用は100万円~500万円ほどです。家の規模によって大きく変わるため、最低100万円以上は想定しておくと間違いないでしょう。
家の解体は、依頼から完了まで2ヶ月ほどかかります。早いと10日前後で終わることもありますが、念のため長めに見ておくと良いでしょう。
譲渡所得税
家の売買で利益が出た際は、譲渡所得税が発生します。売買で利益が出たかどうか(譲渡所得が発生したかどうか)は以下の計算式を元に計算します。
「譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)」
短期譲渡所得 (不動産の所有期間が5年以内) |
譲渡所得税39.63% (所得税30.63% + 住民税9%) |
---|---|
長期譲渡所得 (不動産の所有期間が5年を超える) |
譲渡所得税20.315% (所得税15.315% + 住民税5%) |
軽減税率特例適用時 (不動産の所有期間が10年を超える) |
譲渡所得税14.21% (所得税10.21% + 住民税4%) |
なお、マイホームを売却した場合は、譲渡所得税に対して3,000万円の特例控除が適用されます。最大3,000万円まで非課税になるため、大抵の場合譲渡所得税なしで売却を終えられるでしょう。
不動産売却の流れを把握した後に実施すべき物件を高く売るポイント
不動産売却の流れを理解した上で重要なのが、不動産を高く売るポイントです。不動産は売るタイミングやポイントを意識するだけで、販売額が大きく変わることもあります。
ここでは、不動産を高く売るポイントを3つ解説します。
自分で相場を調べて少し高めに売却額を決める
不動産の査定は不動産会社が行ってくれますが、少しでも高い売却額にするためには自分で相場を調べることが重要になります。なぜなら、不動産会社が提示した査定額が本当に正しいかどうかを判断できないからです。
自分であらかじめ相場を把握しておくことで、提示された金額が安すぎないか、あるいは高すぎないかを的確に判断することができます。加えて、不動産会社が提示する金額に対して、自分の意見を言えるようにもなります。
不動産の相場を調べるのにおすすめのサイトは以下の2つです。
なお、不動産の売却額は、相場より少し高めの金額に設定することをおすすめします。値下げの交渉を考えて料金設定をしておくことで、自分の希望通りの額で売却できるでしょう。
売買が盛んな時期を狙って売却する
不動産を売却する際は、タイミングも非常に重要です。売却が盛んな時期である2月~4月と比較的閑散期な5月~8月ごろでは、不動産の売却額も変わってきます。そのため、不動産を売却するなら3月前後がおすすめです。
また、時期だけでなく社会的な情勢によっても変わってきます。特に国規模で盛り上がるようなオリンピックなどは相場が大きく上がるきっかけです。
少しでも高額に売却するには、こういった社会情勢も見極めるようにしましょう。
ただし、いざ売ろうとした時に、イベントが起きていることはあまり多くありません。そのため、あればラッキーくらいの感覚で覚えておくと良いでしょう。
内覧時に物件をしっかりアピールする
直接的な金額に関わってくることは少ないですが、不動産の内覧は販売できるかどうかに大きく影響します。内覧を全て不動産会社に任せる人もいますが、可能であれば売り手も同席することをおすすめします。
買い手側の立場に立った時に、プロの意見も確かに重要ですが、それよりも実際に住んでいた人の意見は大きな効果を持ちます。
不動産の良さや悪さ、住んでいて便利だったところなど、実際に住んでいたからこそ分かる内容は非常に多いです。
また、それに合わせて不動産の良かったところ、悪かったところなどをあらかじめメモなどしておくと良いかもしれません。
不動産売却の流れを把握する上での注意点
不動産売却の流れには必要な手続きが多くあり、手順ごとに見ても理解できない部分があるかもしれません。そこで、不動産売却の流れを把握する上での注意点を3つ紹介します。
不動産売却の大まかな流れを把握しておく
1つ目の注意点は、不動産売却の大まかな流れを把握しておくことです。不動産売却は不動産会社主導で行うステップが多いものの、不動産会社が行う手続きも含めて大まかな流れを把握しておいたほうが安心です。
不動産売却の手続きには専門用語が多く、一つひとつの手順を詳しく理解すると頭がパニック状態になる方もいるでしょう。難しく考えすぎず、最初は大まかな流れを把握することを目標にしてみてください。
不動産売却に関する基礎知識を勉強しておく
大まかな流れを理解して余裕があったら、不動産に関する基礎知識を勉強しておくとなお安心です。
不動産売却は不動産会社に一任できますが、中には悪質な不動産会社も存在します。悪質な不動産会社は自社の売上を重視した施策を取ることもあるため、基礎知識があればおかしい点に気づきやすくなるでしょう。
また、不動産に関する基礎知識があれば、内覧の時に買い手と対等に話せるメリットもあります。堂々と対応すれば買い手に信頼されやすくなるため、スムーズに売却できる可能性が高まります。
不動産売却に関して不明な点は専門家に相談する
不動産売却に関して不明な点は、専門家に相談するのがおすすめです。不動産売却の流れを把握していても、細かな部分は分からない場合があるでしょう。
不動産売買にはさまざまな法律や税金が絡んでくるため、専門知識がなければ理解できない点があります。
インターネットで検索すれば多くの情報は出てくるものの、インターネット上にある情報が全て正しいとは限りません。調べる時間もかかるため、不動産会社の担当者、税理士、行政の窓口などに聞いたほうが効率的です。
不動産売却にかかる期間を把握しておく
一般的に、不動産売却には3ヶ月~6ヶ月かかります。あくまで目安ではありますが、特に進歩がないまま6ヶ月が経過してしまうのは、何かしら問題がある可能性が高いです。
そのため、あらかじめ期間を設定して何も音沙汰がない場合は、料金の見直しや不動産会社の変更などの手を打ちましょう。
売れ残っている期間が長くなってしまうと、買い手に物件があまり良くないと思われる可能性もあるため、注意してください。
不動産売却前にやってはいけないこと
最後に不動産売却前にやってはいけないことを解説します。場合によっては、販売額が下がってしまったり、売れなくなったりしてしまうため注意してください。
不動産査定を一社のみに依頼する
不動産売却で絶対にやってはいけないことは、不動産査定を一社のみしか行わないことです。
一社のみの査定で不動産会社を選んでしまうと、相場通りの金額でなかったり、営業があまり良くなかったりという可能性もでてきます。
不動産の査定は必ず複数社に依頼して、金額が自分の希望額に近いか、自分の意見をしっかり取り入れてくれるか、実績が豊富な会社かなど、しっかりと良い不動産会社を見極めるようにしましょう。
高額売却のために家をリフォームする
意外とやりがちなのが、高額売却のためのリフォームです。リフォームをすると高く売れると考える方もいるかもしれませんが、実際のところ、リフォームをして元を取れることはほぼありません。
それどころか、リフォームをしたことで相場より高くなり、不動産が売れなくなる可能性もあります。どうしても気になるところがある場合や直したいところがある場合は、不動産会社に相談してからリフォームするようにしましょう。
相場とかけ離れた料金に設定する
不動産売却をする際に「最終的に売れたら良い」という考えで、相場よりもかなり高い金額の設定して販売する方もいます。結論から言うと、この方法は売れ残ってしまう可能性があるため、おすすめできません。
もちろん徐々に安くしていくことで売れるようになる可能性はありますが、売れ残って買い手に悪い印象を与えることの方が多いです。仮に安くても、売れ残っているから何かしら理由があると思われることが多くなります。
そのため、不動産の売却は必ず相場に近い金額で販売するようにしましょう。
不動産売却のQ&A
不動産売却で発生する税金には主に以下のものがあります。
- 譲渡所得税
- 不動産を売却して得た利益(譲渡所得)に対してかかる税金です。譲渡所得は、売却価格から取得費用や関連費用を差し引いた金額となります。譲渡所得税は所得税と住民税から成ります。
- 不動産取得税
- 新たな所有者が不動産を取得する際にかかる税金です。これは購入者が支払う税金ですが、売却側と購入側でこの税金の負担をどうするかは契約によります。
- 登録免許税
- 不動産の所有権移転を登記する際にかかる税金です。この税金も基本的には購入者が支払うものですが、契約によります。
注意点として、譲渡所得税の計算は複雑で、所有期間や不動産の種類、評価額などにより税率が変わります。
また、自宅を売却した場合など特定の条件下では税金が軽減される場合もあります(たとえば、住宅ローン控除など)。
具体的な税金の計算や軽減措置については、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
不動産売却における業者の選び方には以下のような注意点があります。
- 経験と実績
- 長い間業界にいて、多くの物件を扱ってきた業者は、マーケットの動向を理解し、適切な価格を設定する能力があります。また、その地域での売却実績も重要です。特定の地域や物件タイプに精通している業者を選ぶと、より適切な価格設定やマーケティング戦略が期待できます。
- 信頼と評判
- 信頼性の高い業者は、売却プロセス全体をスムーズに進め、問題が発生した場合の対応も期待できます。口コミやレビューを調査することで、業者の評判を知ることができます。
- コミュニケーション
- 不動産の売却は複雑なプロセスであり、業者とのコミュニケーションが重要です。明確に情報を伝え、あなたの要望を理解し、質問に対して適切に答えることができる業者を選ぶことが重要です。
- 費用と契約
- 業者がどのような費用を請求するか、またその費用が市場の相場と比較して妥当かどうかを確認することが重要です。また、契約内容をよく理解し、不明な点は必ず業者に確認することも大切です。
- 販売戦略
- 物件をどのように販売するかは、売却価格と売却までの時間に大きな影響を与えます。物件の特性や市場の状況に合わせた適切な販売戦略を提案できる業者を選びましょう。
これらの点を考慮して複数の業者から情報を集め、比較検討することが重要です。
そして、自分の状況と目標に最も適した業者を選びましょう。
不動産の売却にかかる時間は、その不動産の種類や価格、市場状況、その物件の所在地、そして不動産業者の努力などにより大きく変わります。
一般的には、不動産の売却プロセスは数ヶ月から半年程度とされています。
以下にそのプロセスの概要を説明します。
- 価格設定とリスト化
- まず、不動産業者は物件の価値を評価し、適切な販売価格を設定します。その後、その情報を不動産の販売リストに掲載します。このプロセスは数日から数週間かかることがあります。
- 見込み客の見学
- 物件がリストに掲載されると、見込み客は物件を見学し、価格について交渉します。これは数週間から数ヶ月かかることがあります。
- 契約
- 買主と売主が価格について合意すれば、その後の契約手続きが始まります。契約には通常、物件の検査、評価、金融機関からのローンの承認等が含まれます。このプロセスは通常、数週間から1ヶ月以上かかります。
- クロージング
- 最終的に、契約が完了し、所有権が移転します。このプロセスは数日から数週間かかることがあります。
以上の時間枠はあくまで目安であり、特定の市場や物件の状況により大きく変動することがあります。例えば、物件が非常に魅力的で市場が活況である場合、物件はリストに掲載されてから数日で売却されることもあります。
一方で、市場が低迷している場合や物件に問題がある場合、売却には数ヶ月から1年以上かかることもあります。
不動産の内覧は、物件を購入を検討している見込み客が直接物件を確認し、その購入の決定を支える重要なステップです。
以下に内覧時に気をつけるべきポイントをいくつか挙げてみます。
- 清潔さと整頓
- 物件は清潔で整頓されているほうが、見込み客に好印象を与えます。特に、浴室、キッチン、トイレは清潔に保つことが非常に重要です。不要なものは片付け、スペースを広く見せるようにします。
- 明るさと風通し
- 可能な限りカーテンを開け、部屋を明るく見せるようにします。また、換気をして新鮮な空気を入れることも重要です。
- 補修
- 目立つ傷や壁の汚れ、壊れている部分は、可能なら事前に修理または清掃します。これにより物件の状態をより良く見せることができます。
- 静けさ
- 内覧の際は、静かな環境を作ることが重要です。物件の騒音レベルを見込み客が確認できるようにします。
- 情報提供
- 物件の特性、近隣の環境、交通の便、周辺施設(スーパー、学校、公園など)についての情報を十分に提供します。
- フレンドリーな対応見込み客に対して丁寧かつフレンドリーに対応します。専門用語を避け、わかりやすい言葉で説明します。
- 質問への対応
- 見込み客の質問には正確かつ誠実に答えます。知らないことはその場で答えを出すのではなく、後で確認してから回答すると伝えます。
これらのポイントを意識することで、見込み客に良い印象を与え、物件の売却に繋げることができるでしょう。
再建築不可物件でも売却自体は可能です。ただし、再建築不可物件とは、都市計画法や建築基準法などの法律により現在の建物を解体した場合、同じ規模での再建築が許可されない物件のことを指します。
そのため、その物件を購入したい人は、主に現状の建物を利用することを前提とした人々に限られます。
再建築不可物件の主な買い手は次のような人々や組織です。
- 現状の建物を利用することを目的とする個人や企業(例えば、店舗や事務所として利用する場合など)
- 土地の価値が高いエリアで、将来的な開発可能性を見込んでいるデベロッパーや投資家
- 法規制が変わる可能性を見込んで待機する人々
再建築不可物件は一般的には売却価格が低くなりがちで、売却の際には専門的な知識と経験が必要となることが多いです。不動産の専門家に相談したり、不動産会社を利用することが一般的です。
土地や建物を売る場合は、不動産売却の大まかな流れを把握しておこう
不動産売却の流れは以下の9ステップです。
- 売買価格の相場を調べる
- 家の売却方法を決める
- 不動産会社に不動産売却の相談をする
- 売却物件の査定を行う
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 打ち合わせをする~売却活動を行う
- 購入申込書に記入し、売買契約を行う
- 決済・引渡しを行う
- 不動産売却の確定申告を行う
不動産売却は不動産会社主導で行うステップが多いものの、売り手側も大まかな流れを把握しておいたほうが安心です。
余裕がある方は不動産売却に関する基礎知識を深めておけば、悪質な不動産会社を避けられます。